JOURNAL

珊瑚黒糖 × HAPPY NUTS DAY 職人・前田英章氏とのものづくり

2023.06.29

珊瑚黒糖 × HAPPY NUTS DAY 職人・前田英章氏とのものづくり

沖縄と千葉の名産を掛け合わせる

職人・前田英章氏(72)の作る珊瑚黒糖は、全国からのファンも多く、僕もその一人。昨年、前田さんの工房を訪ねた際に持参したローストピーナッツに、炊きたての黒糖をその場でからめてみたのをきっかけに、「来年、黒糖を炊く季節になったら、また一緒に作ってみよう」とお声がけいただいてから1年。満を持しての再訪でした。

 
黒糖職人・前田英章氏(72)・沖縄糸満市のサトウキビ畑にて

前田さんの黒糖づくりは、珊瑚石灰を含むサトウキビ畑での収穫作業からはじまります。毎年台風被害を受けていたサトウキビも、ここ数年は気候変動の影響か台風のコースが変わって被害も少なく豊作だそう。

収穫したサトウキビを、お弟子さん達と葉を落としてから圧搾。搾りカスは、鶏たちの餌となり、鶏糞堆肥となってまた畑に循環していきます。

そして、薪火と大きな鉄釜で7時間ほど手作業で混ぜながら搾り汁を炊き上げる作業へ。「燃やすちり紙一枚で、黒糖の表情は変わる。」そう穏やかに呟く前田さんの工房には、やさしい緊張感が張り詰めます。

黒糖が滴る様子を見て完成を判断する

時間も体力も要するその作業は、およそ400年前にサトウキビ栽培を沖縄に広めた偉人、儀間真常(ぎましんじょう)の手法を踏襲したもの。全てを手作業で行うことで、沖縄の大地や先人のエネルギーが黒糖に乗り、味や成分的な効能以上の価値を込められると前田さんは考えます。

今回千葉から持参したピーナッツは、熱々の黒糖をかけて追い焚きがかかる事を逆算して浅煎りしてきたもの。それに、炊き立ての黒糖を流し込んで程よい煎り加減に追い焚きをかける。熱々の黒糖は、温度の低下と共に固まるので、ピーナッツと混ぜ合わせる作業は、たったの20秒。

その後ゆっくりと冷ましたピーナッツ黒糖は、両者納得のいく美味しさに。千葉と沖縄、それぞれの名産を加工する者同士が、世代を超えて掛け合わさるものづくりに眩しさをおぼえました。

無事にHAPPY NUTS DAY WORKSHOPの第三弾となる『OKINAWA・ピーナッツ黒糖』は完成。(追記:完売しました。2023,06.29)

最終日は打ち上げに。工房での集中から解放された前田さんは、やさしくご自身の哲学を話してくれます。多くのファンを魅了する珊瑚黒糖は、前田英章氏という大きな人物の一角にすぎないという事を学ばせてもらった3日間でした。

光栄なものづくり、ありがとうございました!

HAPPY NUTS DAY WORKSHOPは、こういうものづくりを、いろんなつくり手と一緒に続けていきたい。